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350 「中越メモリアル回廊」と中越防災安全推進機構(第2回)

公益財団法人山の暮らし再生機構 元理事長 山口壽道(第14話)

 (公益社団法人中越防災安全推進機構 元事務局長)

 
長岡駅前再開発ビルの2階に「きおくみらい」を整備し、
旧山古志村(現在は長岡市)役場に隣接する既存施設をリニューアルした
「おらたる」(公募により決定。おれたちの居場所の意味)、
旧川口町(現在は長岡市)のゴルフ場レストハウスを
リニューアル活用した「きずな館」、
小千谷市には市民学習センターとして地域に活用されていた施設に
併設した「そなえ館」を整備しています。

加えて、長岡市と小千谷市の領界で発生した大規模崩落現場に
「妙見(みょうけん)メモリアルパーク」を、
大規模な土砂模崩落で堰き止められた河川によって水没した
山古志村(現在は長岡市)木籠(こごも)集落跡には、
「木籠メモリアルパーク」を、
そして震源地として特定された川口町(現在は長岡市)の
武道窪(ぶどうくぼ)には「震央メモリアルパーク」を整備しています。

4メモリアル施設、3メモリアルパーク結ぶ「メモリアル回廊」は、
震災の「体験」と「教訓」を伝承するとした構想を具現化した成果ですが、
追悼や祈念と同等に被災地域の交流人口の拡大を狙った
地域活性化方策の一つでもありました。

地震発生から20年、
メモリアル拠点整備から10年の時間が経過している今、
各施設は連携から自立に向かい、
回廊としての強みを発揮できなくなっているようにも見えます。

私たちは、大災害の「体験」と「教訓」から多くを学びます。
上手くいったこと、誇りに思うこと、失敗したこと、後悔していること、
どれも後世の人々に伝え、残していかなければならないことがたくさんあります。

大災害から学ぶべき最大の「教訓」は、災害に遭遇したとき、
私たちは自分の命は自分で守る行動を実行に移すことだと言われますが、
「ヒューマンエラー」によってかけがえのない命を失うことが少なくありません。
「中越メモリアル回廊」は、災害を「自分事」として捉え、
不断に備えることの必要性を語り続けなければなりません。

加えて、国土の7割を占める中山間地の持続可能性を獲得するために、
中越地震からの復旧・復興プロセスを何度も何度でも紐解きながら、
多くの英知を集め、地域づくりの実践モデルとすることが重要な使命なのです。

公益財団法人山の暮らし再生機構 元理事長 山口壽道(第14話)

 (公益社団法人中越防災安全推進機構 元事務局長)