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324 中越地震と私(その10)

前見附市立見附小学校長 前日本安全教育学会理事 松井謙太(第10話)

 
発災数か月後、小千谷市教育委員会が小中学校に行ったアンケート調査に、
「震災で得た教訓は何ですか」という質問があった。

児童・生徒からの回答は、第1位から……
「家族の大切さ・絆」
「人々のあたたかさ」
「助け合うことの大切さ」
「生命の大切さ」
「地域のつながり」

教職員の回答は、同じく第1位から・・・・・
「連携の大切さ」
「教職員間のコミュニケーション」
「子供の心のケアの重要性」
「ボランティアへの感謝」
「普段の備え」

いずれも地震の経験から、特段何か知識を得たとか
スキルが身についたということではなく、
その場の「当事者」として、協働や思いやりの大切さを
実感的に感得したということである。

文部科学省は平成25年に資料「生きる力を育む防災教育の展開」を改訂した。
私も足かけ3年この改訂作業に従事した。

P.91~93は、「わたしにできること」と題した小学6年道徳の展開案である。
当時の小千谷小学校の写真も6枚掲載した。
https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/saigai03.pdf

ここで目指している「自分の役割を自覚し、責任ある行動をとろうとすること」は、
今日多様化する時代であるからこそ求められる姿ではないか。
20年前の小千谷の子供や教師は、実体験を通してそれを学んだといえるだろう。

前見附市立見附小学校長 前日本安全教育学会理事 松井謙太(第10話)