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322 高校1年生だった私の体験(13)震災1週間後その3

元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第13話)

 

お金を節約したい気持ちもあり、
その頃の朝食はもっぱらカロリーメイトを2本、
一箱の半分と決めて食べていた。

普段、通学で毎日小出駅から学校まで歩いていた
往復40分の運動をしなくなったにもかかわらず少し痩せた。

平日は校内から授業に通い、
土日だけ親元に帰り過ごす日々が続いた。

冬が近づき、降雪前に武道窪の実家を取り壊すことが決まった。
当日は学校を休むかと親に聞かれ休むと答えた。

震災で壊れた実家を見た直後はあまり実感がわかなかったが、
生まれてからずっと過ごした家が
目の前で大きな重機で解体されていくのを見て、
震災以降、初めて涙があふれた。

地震直後に家を飛び出したきり帰ってこなかった飼い猫が、
その瞬間はなぜか家の前にいた。
解体の異常な物音に警戒しているのか、
作業中ずっと大きな声で鳴いていた。

猫は家に付くというが
「自分の家」が壊されていくのがこの子も嫌なのかなと思い、
それが寂しさを一層感じさせた。

プレハブ住宅に土日だけ寝泊まりする中で、
叔母が作ってくれた白菜とウインナーだけのシンプルな鍋がとても美味しかった。
食料が少ない中でも、こう作ると美味しい、ということを時々教えてもらえた。

元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第13話)