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306 美味しかった中越(その3)

大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第7話)

 

中越の復興といえば、美味しいものでしょう。
もちろん、ヤマの食べ物もおいしかったのですが、
しがない学生だった私は、ご馳走してもらうことも多く、それも思い出です。

中越復興市民会議のスタッフだったときは、
事務局長だった稲垣さんに、ちょいちょいごちそうになりました。
「みやちゃん、肉食うか」と、北仮設のむかいっ側のレストランでハンバーグ食べたり。
あのハンバーグ、美味しかったなあ。
桐生だったかで、稲垣さんの講演に日帰りでお供した時は、講演前に立ち食いそば食べて、
人生初めての醤油色の黒っぽいおだしの麺類を食べて衝撃でした。

当時、同じく市民会議のスタッフだった鈴木隆太さんにもいろいろご馳走になりました。
おいしいもの、いろいろあったんですが、なぜか印象に残るのは、
現場を行き来する移動の間の缶コーヒーで。
「みやたく、なににする?」と、
いつもおなじみの大容量ブラックコーヒー、ありがたかった。

小千谷でのろしでつながるみたいな催しがあったとき、
のろしなのに大雨でにっちもさっちもいかず、
ひとまず汚い車(ホーミー、汚いのは僕が掃除をしないせい)の運転席で、
フロントガラスにおちる水玉眺めながら、コーヒー飲んでました。

なんだか、食べ物のことを思い出すと、
こんなふうに何気ない時間、瞬間のことが思い起こされるのが不思議です。
けれど、中越の復興は、いろいろな意味で、
こうした「すき間」の時間に大切なことが起きていたんだよなあとも思います。

大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第7話)