· 

299 今考えて思うこと(第9話)災害時の学習権の保証(1)

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第9話)(前三条市立第四中学校 校長)

 

中越地震で大きな被害を受けた太田小・中学校は、校舎の使用ができなくなり、
最終的に市内の前川小学校の校舎を間借りしました。
移転先が決まるまでの間、他の小学校の校舎の一部を
お借りしながら流浪の民のような状態でした。
当然その間授業はできず、やることは引っ越し作業を繰り返していました。

その年度の暮れ、私は担当者として太田中学校平成16年度の授業数の報告をしましたが、
どうしても一部教科で標準時数(その年度内に行うべき最低授業時数)が
下回っていて補充させることができませんでした。

3月くらいだったと思いますが、
県の義務教育課だったか文部科学省だったか忘れてしまいましたが、
突然電話がかかってきました。

「太田中学校の一部教科で標準時数を下回っているのはなぜか」
「理由は理解したがこれから補習等で授業を行えないのか」
と冷徹かつ指示的なニュアンスで言われました。

このような状態で、授業の不足数をこの程度に抑えるために
全職員が相当な努力をしたつもりでしたので、
無理解に数字だけの改善を求める行政に怒りを通り越して
呆れたことを今でも鮮明に覚えています。 

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第9話)(前三条市立第四中学校 校長)