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274 今考えて思うこと(第8話)

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第8話)(前三条市立第四中学校 校長)

 

私は自身の被災経験から、災害に直面した時に災害そのものへの恐怖、
そして死傷者を目の当たりにした時に自分自身に係る精神的なダメージはかなり高かった。
そんな時提供された非常食は、菓子パンやお菓子、おにぎりなど炭水化物ばかりで、
そのためか避難所にいたかなりの人が徐々に衰弱していった。

新潟県中越地震では52名が災害関連死と認定された。
その原因として車中泊によるコノミークラス症候群、
精神的あるいは身体的ストレスによる心筋梗塞・脳梗塞等があげられる。
その他、風邪や肺炎が流行したほか、
避難所生活およびその後の仮設住宅における生活で、
運動不足と孤立により高齢者の心身が急速に衰える廃用症候群が広がり、
震災後、被災地では病死が例年の2倍程度になっており、震災の影響が指摘されている。

人が緊張状態を長く続けた場合に必要な食事、栄養素があり、
それはバランスの取れた食事とビタミン類だと考えている。
さらに、美味しさも必要な要素である。

これまで災害時は、取りあえず空腹をしのぐことを考えたが、これは平時の発想である。
平時においては、時間がないから取りあえずパン、というような発想は
その人の健康に直ちに大きな問題にはならない。
しかし、非常時に襲う不安感、恐怖心を緩和させ、
健康被害を軽減させるために美味しさやバランスの取れた食事が必要となる。
このような食事がいわゆる幸せホルモンと呼ばれるドーパミンやセロトニンを分泌し、
精神的な安定を図る一助となる。
エビデンスは示せないが、熊本地震でも問題になったエコノミークラス症候群も
背景には偏った食事があると考えている。

長岡工業高等専門学校 非常勤講師 五十嵐一浩(第8話)(前三条市立第四中学校 校長)