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247 高校1年生だった私の体験(7)10月27日

元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第7話)

 

震災から5日目、ようやく幼馴染のお父さんが迎えに来てくれて、
いままで通ったことが無いような道を通って帰った。
川口に近づくにつれて、どんどん景色が酷いものになっていった。
山や畑、家や道が崩れて壊されて、電柱が傾いていた。
これでは自分の家はどうなっているのかと思った。

川口に入って、武道窪の実家よりかなり手前で車を降ろされた。
「あなたの一家と親戚はここへ避難しているから」と言われた。
そこは私の叔父一家の車庫兼工場だった。
遠くから母が手を振っているのが見えた。
地震から5日ぶりにようやく親元に戻ることができた。

地震の日の電話で母と話していた通り、川口の生活環境はずっと悪かった。
武道窪の実家が壊れてしまったので、
叔父家族が仕事で使っている小屋に私たちの家族は身を寄せ、
しばらく二家族で暮らしていた。

電気が止まっていたので発電機を使って必要な電気を賄っていた。
もちろん水道も下水道も使えないのでトイレも使えない。
近くの茂みにある側溝の周囲をブルーシートで覆って、
そこを簡易的な流水トイレとして使った。
ポケットティッシュを持って側溝をまたいで用を足していた。
(明日へ続く)

【執筆】
 元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第7話)