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239 長岡市災害ボランティアセンターの運営 ~ある子どものつぶやき~

長岡市社会福祉協議会  本間和也(第8話)

 

12月の初旬、災害ボラセンの企画班のメンバーから、
山古志の避難所にて子どもたちを対象にお楽しみ会を開催したいとの相談があり、
私も二つ返事でOKした。
このイベントは、「山古志わくわくまつり」と銘打って、
企画段階から綿密に打ち合わせを行い、開催の日まであと数日のところまできた。

ある時、企画班のメンバーから相談を受けた。
「本間さん、今日、山古志の避難所で、“わくわくまつり”開催のお知らせを
行ったところ、一人の小学生が私のそばに来て、小さい声で話しかけてきました」
『わくわくまつりには、テレビカメラは来るの。
テレビカメラが来るのであれば、私、わくわくまつりには出ない‥‥‥』と。
この言葉を聞いた瞬間、私は、何も言い出せなかった。

山古志は震災以降、常にマスコミのスポットに当たってきた。
しかし、この小学生にとって見たら、まさに非日常の世界の連続である。
さらには自分たちが日々世間の目に触れ続けることにより、
心が休まる時がなかったと思われる。
小学生にこのような心情を抱かせたのは、まぎれもなく我々大人の責任である。

普段、私たちは、何気なく、被災者中心という言葉を使っているが、
一人の小学生のつぶやきから、被災者本位の本質は何か。
改めて考えさせられた。

【執筆】
 長岡市社会福祉協議会  本間和也(第8話)