「母国語でつづる中越大震災の記憶」より抜粋紹介(第1話) 協力:国際交流センター「地球広場」
中国で生まれ育ち、これまで地震を経験したことがなく、
地震の恐ろしさと その後の結果も経験したことはありませんでした。
思えば、時間が過ぎるのは 早いもので、地震からすでに1年になりますが、
今思い起こすと地震の情景が ありありと目に浮かびます。
10月23日この一日は、永遠に忘れることがないでしょう。
午後5時56分に始まりました。その時は小さな揺れでしかなく、
みんな数分揺れるだけの軽い地震だと思い、気にしていませんでした。
日本では小さな地震はよくあるからです。
これから先に恐ろしい地震があるなんで思いもよりませんでした。
マグニチュード6.8の地震は、地震を経験したことがない私たちにとって、
非常に恐ろしいものでした。立とうとしても立っていられませんでした。
あの時、私たち中国人9人は、社長、専務、そのほかの日本人もみな一緒にいました。
みんなが一緒だったので、それほど怖くはありませんでした。
おそらく人が多いので心強かったのでしょう。
夜、私たち6人の中国人は寮にいましたが、眠ろうにも眠れず、
一緒に座り、夜中なのにじっとしていられませんでした。
眠りについたころにまた地震がきて、その夜はほとんど眠れませんでした。
洋服もきちんと着て、地震が来たら私たちの何人かはすぐ逃げました。
地震が繰り返し起こるたびに、私たちはこんなふうに何回か往復して走りました。
日本人も同じようでした。
今、その時の情景を思い浮かべると、恐ろしくもあり、面白くもあります。
幸いだったのは、私たちが地震の辛い日々を安全にすごせたということです。
地震の暗い影が遠くへいってくれることを願っています。
【執筆】
「母国語でつづる中越大震災の記憶」より抜粋紹介(第1話) 協力:国際交流センター「地球広場」