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221 マンションの再現(続)

福島県立博物館 主任学芸員 筑波匡介(第11話)(元中越メモリアル回廊担当職員)

 

マンションの一室に残されている被災物の収集にあたっては、
床に升目を設置してそれぞれに番付をして、
どの場所になにが置いてあったのかを記録に取りました。

考古学の発掘現場にならったやり方でしたが、ある程度スケッチも残し、
なるべく展示において収集した時点での再現ができるように心がけました。
傾いているマンションの6階から降ろしてくれる協力者も探さなければいけません。
フンだらけの資料も洗浄し、消毒なども行わなければいけません。

展示場所はそなえ館内に場所が取れなかったこともあり、
そなえ館のピロティ―に小屋を建てて、
その中でマンションの再現を行うことにしました。
予算も限られていたし、開館までの時間がなかったので、
内装業に関わる私の家族や木工職人の友人などを頼り、
何とか完成にこぎつけました。

資料の整理に当たっては県立歴史博物館の学芸員からアドバイスをいただき、
資料のクリーニングには小千谷復興支援室の協力により
地域の方たちの参加・協力も得ました。とても助かりました。
今この資料は、地震後の再現としてそなえ館のシアター出口正面で見学ができます。
この経験は大変を通り越して、もはや楽しかった思い出となっています。

このことは「震災資料の活用事例 震災資料展示についての取り組み」として、
長岡造形大学研究紀要にまとめています。
https://nagaoka-id.repo.nii.ac.jp/records/140

【執筆】
 福島県立博物館 主任学芸員 筑波匡介(第11話)(元中越メモリアル回廊担当職員)