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217 現場にでる大切さ(第8回)

長岡技術科学大学 教授 上村靖司(第8話)(新潟県中越大震災20年プロジェクト 副実行委員長)

 

活動費0円でスタートした雪害検討委員会でしたが、
その後、学会が工面してくれた10万円の予算を使い、
速報の内容をA4用紙1枚にギュッと凝縮したチラシを作ることができ、
4万部のチラシを市町村の広報誌に挟んで住民に届けることができました。

道路、建物、雪崩、斜面、春先の雪解け、除雪…などの
多様な注意を詰め込んだ挿絵も写真もない文字ばかりのそっけないチラシ。
それでも多くの方が読んでくださったようで、
直接、住民から電話や郵便、電子メールでの問合せを頂くたび、
Web掲載した文書を印刷して郵送しました。
それでも、本当にメッセージを届けたい住民に、
効果的なタイミングで情報を届けることはとても難しい、それが現実でした。

ふと、机上でパソコンに向かったままで
被災地の雪害軽減を論じていても何の役にも立たないのではないか、
自分の足で地域を回り、地域の人と対話しながら、
冬に向けてどんな不安があるのかを聞き、
そして出来るアドバイスをするべきなのではないか、
そう考えるに至ったのです。
(つづく)

 

【執筆】
 長岡技術科学大学 教授 上村靖司(第8話)(新潟県中越大震災20年プロジェクト 副実行委員長)