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215 山古志村支援チームの活動 山古志村役場長岡支所開設へ(その4)

元新潟県県民生活・環境部 震災復興支援課長 丸山由明(第7話)

 

実際、あの全村避難の状況で、
各避難所に張り付いていた役場職員は相当に疲弊していたようである。
避難所の再編後、村は市内某所に休養施設として住宅を借り上げて、
職員を順番に宿泊、休息させていた。
「場所は内緒です」と村長が言っていた。

長島村長はと言えば、自衛隊から借りたテントを振興局の裏手に張って寝泊りしていた。
一度中を見せてもらったら、枕元に缶ビールが一本供えてあった。
その頃、村長は永田町や霞が関に精力的に陳情・要望活動を続けていて、
そんなある日、帰りの新幹線で、見知らぬご婦人から
「大変ですね、頑張ってください。よかったら後で飲んでください。」
と言って頂いたものだそうだ。

その時、村長は「全員が山古志に戻れるまで、酒は断つことにしました。」
と私に話してくれた。
事実、仮設住宅が解消されるまでの3年間、酒は口にされなかったようである。

 

【執筆】
 元新潟県県民生活・環境部 震災復興支援課長 丸山由明(第7話)