大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第5話)
中越の復興といえば、美味しいものでしょう。
集落に通っていた人も、なんだかんだいって、
結局この美味しいものに引っぱられて足を運んだ人も少なくないはず。
数多ある私の胃袋の記憶から忘れられない美味しかったものを
書き綴ってみたいと思います。
まず一番は、川口町木沢のSさんがつくる、クルミごはん。
これは、ひじきとクルミがごはんと炒められたものなんですが、
「これ味付けはなんなんですか?」
「いや、塩コショーだ」
「うっそだぁ~!?」な味なんです。
とにかく、一口食べると、美味しくて美味しくて、
満腹中枢はどこへいったのか、ひたすら食べ続けてしまうのです。
Sさんちでは、他に美味しいものをたくさんいただきました。
小ぶりの蕪を丸のまま揚げたスープのような天ぷら。
寒い日に体を温めてくれる大根餅。
箸休めに、カラフルな野菜の糀漬け。
Sさんが友達と釣ってきた小鯵の南蛮漬けはビールと最高でした。
おなかが膨れたら、「おまえ、昼寝したら?」と、炬燵で寝かしてもらい、
寝ぼけて脱いだ濡れた靴下(雪道なのに大阪からスニーカーで来てしまったので)は、
目覚めたら灯油ストーブの前で乾かされていました。
ありがとうございました、ごちそうさまでした。
【執筆】
大阪大学大学院人間科学研究科 准教授 宮本匠(第5話)