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191 被災者のパワーを引き出す復旧・復興!-市長としての心がけ(8)  -(公社)中越防災安全推進機構の誕生秘話-

前長岡市長/(一社)地方行政リーダーシップ研究会代表理事 森民夫(第8話)

 

平井邦彦先生から中越防災安全推進機構の設立を提案されたとき、
正直に言えば私は大いに迷ったことを覚えている。

新潟県中越大震災復興ビジョンでは、
確かに、防災・安全に関する学問・研究(官民連携)として、
①市民安全大学の開設と②地方災害総合研究センターの設置が提案されている。
しかし、自立して運営できるかどうか確信がなかったのである。

自立した運営のために、平井先生は、財団法人とすることを提案された。
長岡市や新潟県の拠出金により安定した運営が期待できるからである。
しかし、泉田知事は、財団法人の設立に強く反対した。
平井先生は機構の目的からして財団法人であるべきだと強く主張されたが、
泉田知事は頑として納得しない。
仕方なく、私は社団法人でもやむを得ないと平井先生を説得したのである。

私は、経済的基盤を整えるために、
長岡震災アーカイブセンター"きおくみらい"の管理業務と
市民防災安全大学の実施の応援をすることとした。
また、それだけでは不十分であったので、"きおくみらい"の管理に要する費用については、
数年分の復興基金を一括して支給することを新潟県に提案し実現した。
機構が誕生するためには、様々な生みの苦しみはあったが、当初想定した事業、
特に市民防災安全大学が現在まで継続していることに私は感動している。

【執筆】
 前長岡市長/(一社)地方行政リーダーシップ研究会代表理事 森民夫(第8話)