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184 中越地震から半年間が復興の正念場だった(その2)  -山古志:孤立による全村避難から復興へ-

公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第9話)

 (新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長)

 

中越地震は積雪期の2カ月前に発生しました。
地震が発生する3~2日前にかけて、台風23号による大雨とも重なり、
中越地震の震源地であった山地では山塊崩落が多発しました。

最大の課題は集落をつなぐ幹線道路が寸断されたことで、
積雪期には除雪もできず、村ごと孤立化することから、
山古志村での仮設居住は不可能との長島村長の決断で、
震災の3日後に全村避難を決められました。

避難先は、翌年4月に合併することが決まっていた長岡市で、ヘリコプターによる移動でした。
26日には全域で10万人に達した避難者の中で、山古志村は村外にバラバラに避難しましたが、
その後、避難所間の再移動で集落ごとにまとまられ、
情報伝達も速やかになり、孤独感も緩和され、共助体制が出来上がっていきました。

11月末から仮設住宅への入居が始まり、集落ごとにまとまっての仮住まいへの転居は進み、
クリスマス前の12月23日に山古志村の仮設住宅入村式が行われました。
その前日から雪が降り始めました。
集落には各々集会所があったように、集落ごとに仮設集会施設を要望し、整備されました。
旧住所で出した郵便物も配達され、駐在所も建てられていました。

復旧復興に向けての課題であった広域インフラも、11月5日に関越自動車道が開通し、
暮れも押し迫った12月28日には史上初めて脱線した上越新幹線も全線開通しました。

年が明けて、中越地域は昭和61年豪雪以来19年ぶりの大雪になりました。
(その3へつづく・明日配信)

【執筆】
 公益社団法人中越防災安全推進機構 理事長 中林一樹(第9話)

 (新潟県中越大震災20年プロジェクト 実行委員長)