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153 被災者のパワーを引き出す復旧・復興!-市長としての心がけ(7) -中越大震災復興ビジョン-

前長岡市長/(一社)地方行政リーダーシップ研究会代表理事 森民夫(第7話)

 
地震発生の翌年3月には、早くも「新潟県中越大震災復興ビジョン」が公表された。
ビジョンにはこう記されている。

「復興によって被災者がどのような生活に戻れるのか,
それをいつまでに実現するのかについては,
被災者が生活再建にどのような夢と希望を持つことができるかということに大きく依存する。
それを決定するのは被災者自身である。」と。
そして、旧を踏まえつつその上に新たなものを生み出していくこと、
これを“創造的復旧”と名付け、究極の目標を明示している。

私は、この“創造的復旧”という言葉に感動した。
この考えを強く打ち出されたのは、長岡造形大学の平井邦彦先生だった。

①震災メモリアルパークと関連施設の整備やイベントの開催、
②震災アーカイブスやミュージアムの整備と被災地へのサテライト配備を
目標の一つとして明示したのである。

復興ビジョンでは、被災地が次第に荒廃していくシナリオの【記録1】と
被災地が創造的復旧を果たす【記録2】の2つのシナリオを明示した。
そして、【記録2】には、【今や中越地方では,最素朴と最新鋭が絶妙に組み合わさって
都市と川と棚田と山が一体となって光り輝き,2004 年新潟県中越地震は
「日本の中山間地を再生・新生させた地震」として記録されようとしている。】と結ばれている。

また、 防災・安全に関する学問・研究(官民連携)として、
①市民安全大学の開設と②地方災害総合研究センターの設置が提案されているが、
この提案は、(公社)中越防災安全推進機構とその事業として実現させることができたのである。

 

【執筆】
 前長岡市長/(一社)地方行政リーダーシップ研究会代表理事 森民夫(第7話)