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140 高校1年生だった私の体験(4)10月24日 続き

元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第4話)

 

市役所の受付のそばで段ボールの上に座っている間、色々な人を見た。
外国人の避難者がいて「この言葉は英語ではこう言うんだよ」などと、私たちに話しかけてくれた。
接している間はその方はそんなに不安でないように見えた。
今思えば、その方はALTの方だったのかもしれない。
私たちに言葉を教えている間はその人も笑顔だったのが印象的だった。

市役所の受付に怒鳴り込みに来ていた年配の男性もいた。
「どうして川口には救援が来ないんだ」と職員さんに言っていた。
おそらく川口の住民なのだろう。
その瞬間は恥ずかしい気持ちになったが、その人も余裕がなかったのだろう。

私は自分が長岡駅で被災して比較的良い条件の中で避難していたから、
水も電気も食べものも来ない川口の被災者のつらさまで考えが及んでいなかったのだと思う。
その事の方が今は恥ずかしい。

その人も川口のみんなが大変な状況を見て、どこかに現状を伝えなければいけないから、
仕方なく声を上げに来ていたのではないかと思う。

【執筆】
 元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第4話)