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125 第5話 復興とはなにか

東川口町会 庶務 上村光一(第8話):

 

新居での生活が始まったころから復興という言葉が声高に叫ばれ、
周辺では数々のイベントが開催されるようになった。

私自身も30年以上も地元から離れ、周りは知らない人ばかりといった状況だったので、
休日に開催される催しには家族共々積極的に加わった。
また、ボランティアという言葉も身近になり、
〇〇復興ボランティア、○○復活ボランティアなど、できる限り参加をした。

こうした活動を否定するつもりは全くないし、
当時は阪神淡路大震災の復興しかモデルケースがなく当然の成り行きだと思う。
ただ、こうした活動はこの頃から始まって来る人口減少という大きな問題を
「見ないこと」「後で考えること」としていなかっただろうか?
復興基金を使った箱物の管理は20年を経た今、住民の負担となっていないだろうか?

更地だらけの街はその価値を下げ、さらに人口流失を招いている。
この問題は住民・市・県などを越えた国家レベルでの課題ではあるが、
一住民としてなすべきことはなかったんだろうか?

企業や会社が大きくなる時の会社運営は容易で、ただ流れに乗っていれば何とかなる。
人口が膨らむ時の街も同じで、お祭り騒ぎをしていれば自然と交流が図られ結束が生まれる。
業績が下がり始めた企業や会社の運営は一手間違えると存続が危うくなる。
「小さくなって生き残る方法を模索する」
これが今をこの地で生きる私たちに突きつけられた命題なのだろう。

米沢藩を蘇らせた上杉鷹山は令和のこの世に現れることはない。
また一人の鷹山出現で改革を起こせるような単純な世の中ではなくなっている。
一人ひとりが「小さくなっても生き残れる方法」に向き合えば、
世の中そう捨てたものでもないようにも思える。

【執筆】
 東川口町会 庶務 上村光一(第8話)