元新潟県県民生活・環境部 震災復興支援課長 丸山由明(第4話) :
テレビでは連日連夜被災地の様子が放送され、
特に山古志村の状況は各局で繰り返し放送されていた。
ヘリコプターによる全村民の避難、日々水没していく木籠集落と
応急排水対策の様子などの映像には強い訴求力があった。
発災から3日が経過した頃、私は市町村課で県内外の自治体からの
職員派遣と被災市町村の受け入れのマッチングに取り組んでいた。
今のようなネット環境は無く、電話連絡に頼る当時の状況ではかなり手間取っていたが、
ちょうどその頃稼働した県市長会と各市とを専用端末で結んだネットワークに
乗っかることで作業が軌道に乗り、時間的にちょっと余裕が出てきたところだった。
県災対本部もフルスロットルで動き出しており、
同世代の課長補佐連中のほとんどが本部要員に動員されていた。
災対本部会議の知事対応もかったるくなってきた。
さて、そろそろ自分も本庁を抜け出して最前線の現場へ行きたい
という思いがふつふつと湧いてくる。
そこで2つのミッションを挙げて、市町村課職員を中心とした
山古志村支援チームの編成を課長、部長に提案、知事にも話が通り、ゴーサインが出た。
時を同じくして、長岡市から市の分庁舎を山古志村の仮役場として
提供する旨の連絡があり、正に渡りに舟。
また、県災対本部には孤立集落対策班が設置され、山古志チームも招集されたが、
孤立集落は避難と道路の仮復旧で早期に解消されるはずなので、
山古志チームは別活動とすることにし、本部には一応仁義を切っておいた。
さて、行くぞ山古志!
【執筆】
元新潟県県民生活・環境部 震災復興支援課長 丸山由明(第4話)