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108 高校1年生だった私の体験(1)10月23日

元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第1話) :

 

20年前のあの日は土曜日だったので、幼馴染の友達と二人で長岡に遊びに行っていた。
長岡駅のビルでプリクラを撮っていたら地震が起き、プリクラの機械の中で左右に揺さぶられた。
何が起きたのかわからず、駅の近くだったので新幹線の事故か何かかと思った。

機械の外へ出て、目が合った周囲の人と「出た方がいいよね?」と話し、
停止したエスカレーターをおりて建物の外へ出た。
外へ出ると、大勢の人がバスのロータリーに集まってしゃがんでいた。
頭上に落ちてくる物が無い場所を探して自分たちもそこへ避難した。

しばらくそこでしゃがんでいたが、川口への帰りの電車があるか不安になり、
駅員さんを見つけて電車は動いているかどうか尋ねた。
「電車?動いていないよ。どこへ帰りたいの?」と聞かれたので、
越後川口と言ったら「震源地じゃないか」と言われ、そこで初めて自分の地元が震源地だと知った。

武道窪の自宅は木造で築60年程の古い家だったので、
倒壊して家族が死んでしまっているかもしれない、と思ったら一瞬で不安が増してきた。
動揺して泣きそうな気持になった。
同じ集落に住む幼馴染の方を見ると、同じく涙目になっていたが、
何か話すと泣いてしまう、泣くと不安が増すからいけないと思い何も言葉を出さなかった。
(明日に続く)

【執筆】
 元 川口きずな館スタッフ・旧川口町武道窪出身 赤塚千明(旧姓 渡辺)(第1話)