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100 今思うこと(その1)

農業タレント 田中彩貴(第1話) :

 

被災当時の私は小学6年生で長岡市の街中に住んでいました。
地震が起きた日は土曜日の夕方だったので家で宿題をしながら
夕飯ができるのを待っていたのです。

そうしたら突然今まで感じたことのない揺れを感じて、
学校で習った「大きな揺れが起きたら狭い所に逃げろ」というのを思い出して、
とっさに自分の部屋からトイレに逃げ込んだのです。
この時は地震とは思わずにミサイルが落ちたと思っていました。
小学生ながら初めて死を覚悟した瞬間でした。

揺れが収まってからすぐに家から出て近所の方々と肩を寄り添いあいました。
お母さんが作ってくれていた夕飯も全て床にこぼれていて、
地震当日の夕飯は少し溶けかけのアイスとお菓子でした。
ライフラインが全て止まり、真っ暗な中いつまでも鳴りやまないサイレンの音。
この日の月と星の輝きは今でも鮮明に覚えています。

車中泊生活を3日間くらいし、その後は当時通っていた小学校で避難所生活をしました。
食べるものが無かったのでおにぎりやパンをいただけることがすごく嬉しくて、
毎日届く支援物資がとても楽しみでした。

そしてもう一つ楽しみだったことは避難所の中で学校の友達と毎日遊べることでした。
学校の音楽室で毎日ピアノを弾いて遊べていたから寂しい思いをせず過ごせたのかなと思います。
そして近くの温泉が開放してくれて、一週間ぶりのお風呂は最高でした。

 

【執筆】
 農業タレント 田中彩貴(第1話)