雪国には長い冬を乗り切るためのさまざまな知恵が受け継がれています。
横井戸を利用した融雪もそのひとつ。
井戸というと地面に垂直に掘って地下水を吸い上げるのが一般的ですが、
横井戸は山の斜面や崖に水平方向に掘るもの。
その横井戸からの地下水は冬場、家の周辺に引いて雪を解かすのに活用されてきました。
しかし、中越地震による断層の動きが地下水に影響し水脈が変わってしまったのか、
地震後全く「地下水が出ない!!」という事態になったところが多くあります。
掘る場所を変えても地下水が出ず、横井戸をあきらめたという方もいます。
あるばっちゃんは「うちは幸いなことに新しい横井戸から地下水が出た」と言います。
横井戸はポンプなどの動力を使わず、たっぷりの水が確保できるため経済的にも助かるそうです。
「この水があるから冬でも年寄りふたり、この場所で暮らしていける」と…。
地下水の温度は年間を通してほぼ一定です。
夏にはトマトやキュウリ、スイカを冷やすにも使っているそうです。
【執筆】
元(公財)山の暮らし再生機構川口サテライト 地域復興支援員 佐々木ゆみ子(第3話)