地震による土砂崩れで、母子3名が生き埋めになった妙見の現場で、
2歳の皆川優太ちゃんが4日後救出されるという奇跡が起きた。
強い余震が続き、更なるがけ崩れによる二次災害が発生しかねない状況の中、
東京消防庁のハイパーレスキュー隊による決死の活躍のおかげであった。
ところが、現場が長岡市であったため、
救助活動の法律上の責任者は長岡市長である私であった。
雄太ちゃん救出後、現場では母子2名の生体反応がなく絶望と判断されたが、
救出作業の中止の判断をする立場となった。
総務省消防庁長官に相談したところ、このような救出作業の中止の判断が
一番難しいとのことで、ご遺族の意向を尊重することとなった。
さっそくご遺族のもとに伺い事情を説明したところ、
二次災害を起こすわけにはいかないので中止してほしいとのご返事をいただいた。
ご遺族の苦渋のご決断に頭が下がる思いであった。
その意を受けて中止の判断をしたのである。
余談だが、中止した途端にテレビ中継を見ていた全国の方々から、
長岡市に対する抗議の電話が殺到した。
現場の緊迫感は伝わりにくいものだということを実感した。
【執筆】
前長岡市長/(一社)地方行政リーダーシップ研究会代表理事 森民夫(第4話)